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2016年2月19日

【コラム】ガソリン価格が下がった理由と今後の価格上昇の可能性(前編)

今週、16週ぶりにガソリンの店頭販売価格が値上げに転じました。

しかし、まだまだ以前に比べると価格はかなり安い状態が続いています。

今回のコラムでは、なぜガソリン価格がここまで下がったのか、今後また上昇する可能性はあるのかということについて簡単に説明していこうかと思います。


【コラム】ガソリン価格に含まれる税金 でご紹介したように、日本のガソリンの販売価格は、現在の平均価格だと半分以上が固定の税金で占められているため、税金の構成が変わらない限り、これ以上大きくガソリン価格が安くなる可能性は低く、現在の価格がほぼ底値といえそうです。


では、なぜここまでガソリン価格が下がったのか。

当ブログでも何度か言及していますが、一番の要因は原油価格の下落です。

1バレル100ドルを超えていた 原油価格は、現在では1バレル 30ドル付近を推移しています。


ちなみに1バレルは約159リットル

現在の為替では、1ドルが114円程度なので、

あくまで目安ですが 原油1リットルは約22円程度で取引されている計算となります。



そういえば昔、学校の授業で石油はもうすぐ無くなってしまうから石油に代わるエネルギーが必要です。

と教わっていた記憶がある方も多いのではないでしょうか?

その時の授業が正しければもうすぐ石油は無くなってしまい、新しいエネルギーが誕生していたはずです。

しかし、現状石油がなくなってしまう危機的な状況ではないようです。


実はこの理由が、現在原油価格が大きく下落している大きな要因の一つになっています。


その理由がシェールオイルです。


テレビやネットでシェールオイルやシェール革命という単語自体は見たり聞いたりしたことがある方も多いかと思いますが、いまいちよくわからないという方もいるかと思います。シェールオイルとは、石油に変わる新しいエネルギーというわけではなく、物質そのものの違いではなくその採掘方法の違いで、地下深くのシェール層に埋まっている石油を指します。


シェールオイル自体は以前から存在していたものの、採掘して市場に出回るためのコストが当時の技術と市場価格では採算が合わなかったため、計算には入っていませんでした。


現在は、技術革新によりアメリカでのシェールオイルの増産が進んでおり、一時高騰した原油価格の影響もあり一般に出回るようになり、OPECからシェアを奪っていきました。


OPEC、特にサウジアラビアが支配してきた今までの原油価格市場であれば、OPECが減産することで原油価格をある程度コントロールすることができていました。

しかし、現在シェールオイルの登場によりOPECのシェアが減ってしまったため、一方的に原油価格をコントロールすることが難しくなってしまいました。


シェールオイルは、採掘コストが高く現在の1バレル30ドル付近の価格では採算が合わないと言われています。

一般的に、サウジアラビアの原油生産コストは1バレル10ドル以下、アメリカのシェール企業の生産コストは、油田の条件により大きく左右されますが、平均して1バレル50ドル以下では利益が出ないと言われています。


そのためOPECは、減産をしてシェールオイル企業の採算ラインまで原油価格をコントロールして、ある程度の利益を確保することは可能でした。

しかし、OPECは減産して利益を確保することよりも減産せずにシェアを確保する方法を選択しました。


これにより、採算の合わなくなったアメリカのシェール企業も借金返済のために、増産を続ける必要があり、市場は原油の供給過剰状態となり現在の原油価格にまで下落しました。


他にも様々な要因は考えられますが、これが現在原油価格が下落している大きな要因だと考えられています。


次回、今後またガソリン価格の上昇はあるのかということについて考察していきたいと思います。

もちろん、基本的に未来を予想することは出来ませんので、今後考えられるシナリオをいくつかご紹介できればと思います。


【コラム】ガソリン価格が下がった理由と今後の価格上昇の可能性(後編)