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2021年8月13日
今年4月に誕生したサイケイ(齋藤英昭代表取締役)の車両引取・出張サービス『サイケイお助け隊』が、業界内外から大きな注目を集めている。
既存の経営資源を活用し、地域に埋もれていたニーズを手軽に発掘できる一方で、熟練スタッフの次のキャリアステップにも繋がるからだ。
「既存の〝待ちの商売〟のままでは出くわせなかった要望の数々に、大きな可能性を感じている」(齋藤社長)と心を弾ませる。
サイケイの新サービス『サイケイお助け隊』は、お客様の指定する場所にまで軽トラックで出向いて車両を引き取り、SSで各種メンテナンスを実施後、再び車両を元の場所へ戻すサービスのこと。
車載した工具で簡易的な出張ロードサービスはもちろん、将来的には持ち前の整備力を軸に、同業者から車検の通検業務なども受託する考えだ。
同社ではこの『お助け隊』を、既存の灯油配達も兼ねる形で2021年4月1日から事業化。灯油の配達要員として働いていたベテランのアルバイト1名を含めて、計2名体制でスタートした。
この事業を発案し、実行を後押ししたのは、齋藤英昭社長本人だ。同社は以前より、洗車の引き取りなどを要望する顧客には個別に応じていた。しかし、代金無料で引き受けていたため、現場スタッフの力も入らないでいたという。
「これでは埋没コストが膨らむだけのこと。やるからには中途半端ではなく、きちんと専任のスタッフを配置し、出張料金を頂戴する必要性を感じた」(齋藤社長)と率直に話す。
事業化する上で真っ先にイメージしたのは、かねてより抱いていたビジネス構想だった。
「需要が減少するなかで、待ちの商売に甘んじていては、それこそ〝座して死を待つ〟ようなもの。いずれお客様の元へ積極的に出向いていかなければならないだろうと考えていた。かつて掛け売りが全盛期の頃、満タン・洗車の引き取り納車などは日常茶飯事。これを忙しい現代社会に沿った形で復活できれば意義深いと思った。しかも、こうした小回りの利くサービスは、県外業者の方々は敬遠しがち。地元SSの活路を見出せると思った」(齋藤社長)と振り返る。
昨今、Uber Eatsなどのおかげで有料宅配サービスが認知され始めたことも追い風に感じた。
実際に同社では引き取り納車のサービスについて「サイケイ版Uber Eats」、また出張ロードサービスについては「サイケイ版JAF」と定義。
お客様のライフスタイルや状況に合わせて〝痒い所に手が届く〟サービスを提供していきたいと話す。
初代『サイケイお助け隊』の隊長を務めるのは、篠原秀幸さん(48)だ。SSでマネージャーを務めた経験を持ち、今年の年明けに齋藤社長から声が掛かった時は、違う店舗の現場をフォローしていた。
最初に新規事業の話を聞かされた際は、前例がないだけに不安が過ぎったという。
「でもその分、可能性も感じました。とくに所在する所沢エリアは、人口30万人以上の都市で、昔ながらの住民が多く、また近年は都内のベッドタウンとして若者世帯の流入が相次いでいる。いろいろな顧客層がいるだけに、さまざまな車のお悩みがあるのではないかと察しました」(篠原隊長)と振り返る。
提供するサービス内容や料金表については、SS現場のスタッフも交えて皆んなで話し合ったという。
ちなみに、『お助け隊』の作業メニューは、
①洗車
②コーティング
③タイヤ交換
④整備
⑤鈑金
⑥車検
⑦レンタカー送迎
⑧バッテリー交換
⑨オイル交換
⑩カーナビ取付
⑪ドライブレコーダー取付
⑫ETC取付
の計12項目。
出張料金は、車両の引き取り・納車、出張サービスともに出動1回につき1000円(金額が2万円以上の場合は無料)がかかる仕組みだ。
現場での各種支払い(現金・電子マネー・クレジット)に対応できるよう決済ハンディPOSも常備した。
さっそく現場でのチラシ配布やポスティング、さらにメール会員に対しての告知を実施したところ、すぐに反応があった。
栄えある第一号のお客様はなんと、60代の女性だったという。なんでもスペアタイアの廃タイヤが1本だけ自宅にあったそうで、どうしたものかと困っていたそうだ。
「笑顔で喜んでくれたのは嬉しかったです。ご本人も〝こういうのは今までどこに頼んでいいのか分からなかった〟と話しており、これぞ待ちの商売では発掘できなかった需要だと思った次第です」(篠原隊長)と感慨深く話す。
齋藤社長も、そうした埋もれたニーズの開拓に力を入れていく考えだ。
「在宅勤務中に車両を引き取って整備を行うケースや、市内に通勤する顧客の職場から車両を引き取り、メンテナンス等を施して返却するケース。さらには、通販で仕入れたTBA商品を取付するケースなど。お客様のライフスタイルに合わせて、提供するメニューも流動的になって然るべき。お車に関するどんなお悩みにもスピーディかつ丁寧・迅速に寄り添っていくことが、文字通り〝お助け隊〟の存在価値になり得ると考えている」(齋藤社長)
篠原隊長も同様に、大きな手応えを感じているところだ。
「今後はお客様からの電話の問い合わせ内容なども加味して、チラシの文言やメニューを刷新していく考えです。時間がなくて困っているお客様は絶対にいるはず。そうした社会の隙間の層を狙っていけるのは、フットワークの軽い私たち〝お助け隊〟だけだと思います」(篠原隊長)と話している。
月刊ガソリン・スタンド 2021年 6月号
P.97 「収益アップの秘訣がここにある!SS販売戦略 サイケイ〈伊藤忠エネクス系ENEOSマーク〉埼玉県所沢市/直営2カ所 新たなニーズに出会う喜び」より
【 掲載ガソリンスタンド 】
ENEOS 新所沢フラワーSS / (株)サイケイ(埼玉県所沢市)
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