2020/12/29 09:20
純エンジン車廃止後はバッテリーEVの時代なのか?
政府が純エンジン車を2035年頃をメドに販売禁止するというニュースが流れ、「EVの時代になるのか」と言われていますね。
厳密にはEVの中にはバッテリーEV(BEV)の他にも水素燃料電池車(FCEV,FCV)も含まれているわけですが、何故か国内ではEV=BEVという捉え方をされていますね。
BEVについては短距離用としてはメリットがあるものの、長距離用としては現状ではデメリットの方が大きいです。
通勤や近場のルート配送であれば、基本的には自宅の普通充電で十分。新しい規格の6kw普通充電器ならば10時間で60kw満充電出来ます。
(=急速充電対応を考えなくてもいい)
60Kwhであれば、200V受電ができる家ならばEV分は30Aで済みますし、普通の一戸建てなら60Aまでの契約で十分です。
結果として送電インフラにも負荷はかかりません。
現行日産リーフなら自宅で充電すれば十分ということです。
→となると、過疎地などでSSが減っている地域にとってはむしろ便利です
ところが、遠距離を走ることになると、どうしてもバッテリー容量の問題があり急速充電が必要となります。
現在日本ではChademo方式では90Kw、テスラのスーパーチャージャーだと250Kwですが、Chademo方式では350Kwまで規格化されています。
スーパーチャージャーの250Kwhという出力はほぼ標準的な家庭用電力(40A×100v=4KWh)の62戸分、350kwhですと87.5戸分に相当します。
要するに中規模マンション1棟分の電力の電力が必要となり、少ない台数なら問題ないものの、これが多くなるようだと送電網の増強が必要になってきます。
また、高出力充電器の場合工事費もバカにならず、テスラの場合も2千万前後、90Kw級でも数百万はかかります。高速道路のサービスエリアだと長い引き込み線が必要となり1千万以上はかかるといわれています。
一方で、現在のリチウムイオン電池だとあまり高電圧をかけられないという問題も
これをブレークスルーする為に、充電そのものへの対応としては「交差点充電」「走行中給電」が検討されています。
走行中給電は高速道路の路面に給電ラインを敷くもの、要するに電車の自動車版で、一時は東名か新東名ルートで東京から大阪まで敷き詰めるプランがありましたが、技術の進歩により全区画敷き詰めなくても電欠の心配がなくなり、東京大阪間であれば半分程度敷ければ問題ないようです。
走行中給電は車両と路面の給電ポイントが50cm以上離れると機能しないのが大きな欠点ですが、これについては自動運転で給電レーンの上をトレースするように走れれば問題ありません。(=自動運転が前提になると思います)
一方の電池については固体リチウム/全固体電池を電池メーカーや自動車メーカーが協業して開発しており、これができれば充電時間の短縮にはつながります。
ただ、いずれにしてもインフラ整備に高額の費用が掛かってしまいます。
ならば、もう一方のFCVの方が良いのでは?という考えが出てきます。
FCVの普及に障害になっているのは、1か所当たり4億円と言われる水素ステーションの設置費用ですが、これについては規制緩和で2億円前後(欧州と同水準)にすべく検討が進められていると聞いています。
あとはBEVより更に高額な車両代ですが、これも2代目トヨタ・ミライでは最廉価グレードですと前モデルより100万円ほど安くなってます。
コストの障壁は白金を使うことがありますが、これについては代替材料の検討がされているようです。
代替材料が確定しFCV自体を安く作れるようになれば、FCVの場合は水素充填時間はガソリン車と同程度というクルマとしてのメリットの他、災害時には電源になるというメリットも出てきます。
北海道では猛吹雪の際にクルマが孤立しCO中毒でなくなるというケースが発生しますが、これもFCVであれば丸1日エアコン暖房かけっばなしでしのぐことが可能です。
(旧型ミライでも非常時には住宅1戸分なら1週間給電する能力があるとのことでしたので、1日エアコン暖房は余裕のはずです。BEVではこうはいきません)
地震や台風による停電が発生してもVtoHで自宅に給電し復旧を待つことも可能です。
また、水素は電気エネルギーと異なり容易に大量の貯蔵が可能です。
(貯蔵方法については川崎重工業のWEBサイトなどに詳しく出ています)
運搬も水素タンカー/タンクローリーなどの方法もある為、送電網増強に費用をかける必要がありません。
FCVの欠点である「水素ステーションが少ない」ことについては、100km程度走行可能なバッテリーも積み、「普通充電もできる」FCVにするという解決方法もあります。
メーカーによっては、FCスタックの発電量だけでは発進時のパワーが足りなくなるということで、バッテリーも積むことを検討していますが、ならば家庭で少量充電できるようにしておけば、自宅周辺はバッテリーで、片道50km移動が必要な時は水素で動くことも可能です。
→もちろんコストの問題はあり、それ故に検討しているのは某高級車メーカーなのですが、全固体電池などが安く量産できればトヨタやホンダも検討できるものと思います。
こう考えていくと、「遠距離を走らないクルマはEV、今のホンダeのように一充電走行距離を追わないもの」、クルマを一台で済ます場合や遠距離を走る場合は小容量バッテリも積んだFCVというのが正解のように考えます。
リーフだって走行距離を割り切れば、例えばバッテリー半分にすればその分は安くできますし、車重も軽くなるので電費もよくなります。
2035年頃にはgogo.gsも今あるgogoEVの他にgogo.HS(gogo水素ステーション)というのもできるのかも。
コメントをするにはログインまたは会員登録が必要です