この仕事は頑固じゃなきゃ続かない。若手ほど憧れと現実との違いに悩む。
資格を取って使えるようになるまで10年。それが自動車整備という仕事だ。
今でも16歳で見た光景を思い出す。
バイト先の店長がさっと車体に潜り込み時計仕掛けのようなギアを分解して交換。
袖で汗を拭く姿が格好よく見えた。
高卒後、整備の専門学校へ。
カーディーラーで経験と実績を積み、鉄筋工場を経てSS企業へ入った。
自分のキャリアより車の進化は早い。
だが、どれだけ電子制御化されてもスキャンには表れない音や匂いがある。
最後は勘と指先がものを言う世界。
この職場の誇りと伝統を守れるなら、誰よりも頑固で居続けたい。